電気錠 電気錠

電気錠とは

「電気錠」とは、錠ケースの中に組み込んだソレノイド(導線を円筒状に均一に巻いた電磁石)やモーターによって、
電気的な操作でも施開錠できるようにし、また、リードスイッチなどによって、
戸の開閉状態や施開錠状態を信号として取り出すこともできるようにした錠のことを言います。

一般錠と電気錠を比較した場合、電気錠を設置する最大のメリットは、
(1)遠隔操作で「施錠・開錠」操作が可能、
(2)離れた場所から「扉の開閉状態」と「施錠・開錠の状態」が確認できる の2点です。
単に、電気錠を設置したからといって、錠前そのものの防犯性能が上がるというわけではありません。
その他の用途としては、タイマーを接続して電気錠の施錠・開錠を自動的に行ったり、
カードリーダー等を併設して操作した人(カードの持ち主)を特定し、入室・退室の履歴を残すことが可能となります。
電気錠を一言で言えば、「利便性を求めた錠前」であるといえます。

電気錠の種類

電気錠には様々な機種がありますが、外観上の違いから、次のように大別できます。

  • 本締り錠型

    本締り錠型
    • GOAL EM型
    • MIWA AL3M型
    • SHOWA EMX型

    モーター駆動でデッドボルト(かんぬき)を出し入れするタイプと、電磁石を作動させてデッドボルトが突出するタイプがある。
    引き戸向けの鎌錠タイプもある。

  • ケースロック型

    ケースロック型
    • GOAL ES型、EL型、EXS型など
    • MIWA ALT型、ALR型、ALA型など
    • SHOWA ECH型、ECLH型、EAL型など

    「レバーハンドルもしくは握り玉」と「シリンダー・サムターン」が付属するケースロックタイプ。
    一般錠からそのまま交換できる機種もある。

  • グリップハンドル型

    グリップハンドル型
    • GOAL PXKE型、PXEMT型など
    • MIWA ALPG型

    グリップハンドルやプッシュプル錠と一体になった電気錠。
    基本的にはモーター式電気錠と同じ仕組み。
    2ロックタイプでは、主錠・補助錠の両方が電気錠の製品と、補助錠側のみが電気錠の製品がある。

  • ストライク型

    ストライク型
    • MIWA AST型、ASR型、ASZ型
    • SHOWA EDM型

    枠もしくは親子扉の「固定側」に埋め込まれるストライクタイプ。
    自動施錠タイプの錠前と組み合わせて使用する。
    外開き扉の場合の破壊行為に対し弱いという弱点があるため、扉への通線が困難な場合や扉に電気錠を収めるスペースがない場合に使用されている。

  • グレモン錠型

    グレモン錠型
    • GOAL CMT型、CMR型
    • MIWA ALG型、ALGT型、ALGR型

    防音扉など、遮音性や密閉性が必要な重量級の扉に使用される。
    扉が閉まった後、ハンドルを回さなければ、施錠されない。

  • マグナロック(海外製品)

    マグナロック(海外製品)
    • MIWA EML

    通電することにより、電磁石が働き、プレートと本体が吸着する。
    真正面から引っ張る方向で、最大の吸着力を発揮する。

電気錠は、内部機構の違いにより、次のように大別できます。
錠前メーカーによって呼び名は異なります。

モーター式電気錠

通電するたびにモーター駆動で施錠・解錠を繰り返すタイプ。通電するたびにモーターを駆動して施錠と解錠を繰り返す電気錠です。本締り錠タイプと鎌錠タイプがあり、主に玄関扉に使用します。原則として、停電時には停電前の状態を保ちます(電気錠制御盤の機種によっては、一定時間内の解錠保持が可能です)。停電時でも、鍵やサムターンで施錠・開錠を行うことができます。

瞬時通電施解錠型電気錠

通電するたびにソレノイド(電磁石)が作動して施錠と解錠を繰り返す、レバーハンドルあるいはノブを備えたケースロックタイプの電気錠です。基本的には、停電時には停電前の状態を保ちます(電気錠制御盤の機種によっては、一定時間内の解錠保持が可能です)。停電時でも、鍵やサムターンで施錠・開錠を行うことができます。

瞬時通電解錠型電気錠

解錠操作のみを電気的に行うことができる。通常は鍵あるいはサムターンで施錠・開錠しますが、自動火災報知機との連動により、非常時のみ電気的に開錠するのに使用します。その際、手動で復旧・施錠するまでは、解錠状態を保持します。主に、外部に面した非常階段などに用いられています。

通電時施錠型電気錠

通電中は、ソレノイド(電磁石)が作動して施錠状態を保持します。断線や停電で電気が途絶えると、自動的に解錠状態になります。非常口ドアなどに使用されます。

通電時解錠型電気錠

通電中はソレノイド(電磁石)が作動して解錠状態を保持します。断線や停電で電気が途絶えると、自動的に施錠状態になります。

その他、美和ロック製のAUT(AUR)シリーズやゴール製のEUT(EUR)のように、
通電時施錠型と通電時解錠型が切り替え可能な製品もあります。

これらの電気錠は、一般にAC100V電源を必要とする「電気錠制御盤」とセットで設置されます。
電気錠制御盤は、電気錠1台に付き1台(1回線)が必要になります。電気錠が複数ある場合、
コスト面だけを考えると、多回線盤よりも1回線用制御盤を
必要な回線分だけ設置したほうが安くなる場合もあります。

外部からの開錠方法としては、一般錠と同様に、
鍵で開錠するか、室内から開錠操作を行ってもらうかのいずれかになりますが、
テンキーユニットやカードリーダーなどのさまざまなオプション機器を併設して、
「暗証番号で開錠する」「カードで開錠する」「リモコンで開錠する」等が可能になります。