防犯対策 防犯対策

侵入犯罪の手口と被害写真

ピッキング

針金のような専用工具を、シリンダー部分に差し込み、解錠する手口です。
特に旧式のカギが狙われ、ピッキング対策がされていない場合、解錠にかかる所要時間はほんの数秒から数分と言われています。

【対策】

  • ピッキングに強いシリンダーに交換する。
  • 防犯性能の高い補助錠(CP認定錠)を設置する。

サムターン回し

サムターン回しとはドアにドリルなどを使って穴を開け、金属の棒を使ってドア内側のつまみ(サムターン)を回転させて解錠してしまう手口のこと。
建物のドアの材質によっては、ハンドドリルなどで比較的簡単に穴が開いてしまうものもあります。
ハンドドリルは電動ドリルの様にモーター音がならないので、周りに気づかれることが無いまま簡単に侵入されてしまうケースが多発しています。
最近では、ドアとドア枠の間に工具を差し込むことで解錠する手口や、ドアスコープ、ドアの郵便受けなどから狙われるケースもあります。

【対策】

  • サムターンを防犯サムターンに交換する。
    防犯サムターンには、サムターンを取り外せるもの(脱着式サムターン)や サムターンについているスイッチを押さないと解錠できないもの(スイッチ式サムターン)があります。
  • 防犯性能の高い補助錠(CP認定錠)を設置する。
  • 事例写真①事例写真①事例写真①
  • 事例写真②事例写真②事例写真②
  • 事例写真③

バンピング

「バンプキー」とよばれる、特殊加工したキーを用いて、簡単な構造のピンシリンダーを不正開錠する手口です。
解錠には、ピッキングのように熟練した技術や特殊工具を必要とせず、侵入の痕跡を残さず、簡単に短時間で解錠されてしまいます。

【対策】

  • バンピングで開けるのが困難なシリンダーに交換する。
  • 防犯性能の高い補助錠(CP認定錠)を設置する。

ドリリング

ドリリングとは、ドリルなどを使用し、シリンダーを破壊し侵入する手口のこと。

【対策】

  • 「耐鍵あな壊し性能」の良いシリンダーに交換する。
  • 防犯性能の高い補助錠(CP認定錠)を設置する。

バイパス開錠(カム送り開錠)

バイパス解錠とは、シリンダー(鍵穴)とドア表面の間に特殊な工具を差し込み、直接ドア内の錠前を作動させて、不正に解錠させてしまう手口です。

【バイパス解錠対策が必要な機種】

MIWA(美和ロック)
LA MA、LASP、 LD、LDSP、BH、BHSP
※フロントの刻印の下に「_(アンダーバー)」がある場合は対策不要です。
  • 「耐鍵あな壊し性能」の良いシリンダーに交換する。
  • 防犯性能の高い補助錠(CP認定錠)を設置する。
GOAL(ゴール)
ASLX(レバーハンドル型のみ)、HD
※対策済みであるかどうかは、ケースを扉から取り外さないと確認できません。
  • ケースを対策済みのものに交換する。
  • ケースにバイパス解錠防止金具を取り付ける。
SHOWA(昭和ロック)
535(535D)、397、CL-30/50
※対策済みであるかどうかは、ケースを扉から取り外さないと確認できません。
  • 「耐鍵あな壊し性能」の良いシリンダーに交換する。
  • 防犯性能の高い補助錠(CP認定錠)を設置する。
HORI(堀商店)
1210、1310、1110、1171、1311-64、1311-51、1311-38
本締り錠、レバーハンドル錠、ノブ錠。
  • シリンダーカラーが動かなくなるよう、ワッシャーを装着する。
  • 防犯性能の高い補助錠(CP認定錠)を設置する。

鍵穴壊し

鍵穴をドリルやホルソーを使って破壊開錠してしまう手口です。

【対策】

  • 「耐鍵あな壊し性能」の良いシリンダーに交換する。
  • 防犯性能の高い補助錠(CP認定錠)を設置する。

シリンダーもぎ取り(ノブもぎ取り)

シリンダー及び、シリンダーのついたノブを強引にもぎ取って開錠してしまう手口です。
特にドアノブにカギ穴がついている円筒錠(下図)は勝手口に使われていることが多いですが、このドアノブは特殊な工具でひねると壊れてしまい、防犯上非常に問題があります。

【対策】

  • 防犯性能の高い補助錠(CP認定錠)を設置する。

こじ破り

バールを使い、力ずくでドアをこじ開けてしまう手口です。
古典的な方法ですが、被害件数は依然として高く、日本の住宅は外開きであるにも関わらず、バール対策されている住宅はほとんどありません。
被害にあった後はすぐに修理できないこともあります。

【対策】

  • 防犯性能の高い補助錠(CP認定錠)を設置する。
  • 事例写真④事例写真④事例写真④

「防犯性の高い建物部品」について

防犯建物部品とは?

防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議 建物への侵入犯罪の防止を図るため、平成14年11月に 「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」 が設置されました。その設置趣旨は以下の通りです。
「最近における建物への侵入による犯罪の実体にかんがみ、関係する省庁および民間団体が建物部品の開発および普及の方策について検討を行うため、防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する合同会議を設置する。」
防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議設置趣旨より平成15年10月には防犯性能の高い建物部品の試験基準が決定され、11月より試験が実施されました。そして平成16年4月1日、警察庁より試験合格品目録が発表され、防犯性能の高い製品が公表されました。この製品を 防犯建物部品と呼びます。防犯建物部品には、下のような統一のマークが使用されます。

構成員(官民合同会議に参加している関係団体)

警察庁/日本ロック工業会/国土交通省/財団法人全国防犯協会連合会/経済産業省/財団法人ベターリビング/社団法人日本シャッター・ドア協会/社団法人建築業協会 /社団法人日本サッシ協会/社団法人住宅生産団体連合会/社団法人全国警備業協会/社団法人日本建築士会連合会/社団法人日本防犯設備協会/社団法人日本建築家協会/板硝子協会/社団法人日本建築士事務所協会連合会/日本ウィンドウ・フイルム工業会/社団法人日本損害保険協会

試験をする建物部品の種類

  1. ドア
    • ドア(A種)
      スイングドアのうち、ドア(B種)以外のものをいう。なお、試験細則はサッシと共通とする。
    • ドア(B種)
      主として中高層建物(ビル・マンション)の出入り口に使用されるスチール製又はステンレス製のスイングドアをいう。

    • 交換用シリンダー及びサムターンを含む。
    • サッシ
      スライディングドアを含む。
    • ガラス
    • フィルム
    • 窓用雨戸及び窓用面格子
      試験細則はサッシと共通とする。
    • 窓用シャッター
  2. シャッター
    • 重量シャッター
      シャッターのうち窓シャッター以外のものであって、スラットの板厚が1.2mm以上あるもの及びこれと同等以上の防犯性能を有するものをいう。
    • 軽量シャッター
      シャッターのうち、窓シャッター及び重量シャッター以外のものをいう。
    • シャッター用スイッチボックス
  3. 錠、シリンダーおよびサムターンに関する
        
    試験の概要

    防犯性能の試験は3段階に分けて試験されます。
    最終の試験に合格した製品が官民合同会議試験合格品となります。

  • 第1系列の試験

    応募した全ての製品について、特殊な技能を持った複数の試験員が下記の5項目について試験を行います。
    基準以上の成績の製品が合格となります。

    1. 耐ピッキング試験
    2. 耐インプレッション試験
    3. バイパス解錠試験
    4. 耐読み取り性能試験
    5. サムターン解錠試験
  • 第2系列の試験

    第1系列の合格品について、複数の一般試験員が下記項目の試験を行います。
    基準以上の成績の製品が合格となります。

    1. ドリリング試験
    2. シリンダーのもぎ取り
    3. シリンダープラグの引き抜き
    4. シリンダープラグの捻り
    5. デッドボルトの切断
    6. 携帯用ガスバーナー試験
  • 第3系列の試験

    第2系列の合格品について一般試験員が行う試験です。
    予め決められた標準ドアと標準枠に製品を取り付け、一般試験員がバールを用いたドア錠こじ破りおよび受け座壊しを行います。
    いずれの場合もドアが開くまでの実働時間が5分以上かかる場合は合格となります。
    または、開き扉の彫込錠、面付錠および引戸錠において日本ロック工業会規格JLMA A 2001-2の「外力に対する性能」のグレード3以上の強度性能を持つ錠については第3系列の試験については合格とみなされます。
    電気錠システムは第1~第3系列の試験以外に、以下の試験基準を満たした製品が合格となります。

    1. 電気的攻撃試験
    2. 各システム固有の試験

試験の詳細に付きましては警察庁の ホームページ をご参照ください。

早い話が、「ドロボウに侵入されないように、5分以上耐えてくれる出入り口や窓をみんなで作ろう」ということです。5分というのは、いろいろなデータから、ドロボウが侵入をあきらめることが多いとされる時間を元にされています。

官民合同会議試験合格品(以下、官民合格品)の錠は、試験をする建物部品の種類の中で「ドア」の項目に含まれているように、同じ官民合格品のドアに取り付けて初めてその性能が発揮されます。
したがって、既設の扉に設置したとしても、十分な防犯性能が得られるとは限りません。

たとえば、面付けタイプの本締り錠で、従来品と官民合格品とを既設のマンションドアに設置して比較するとします。シリンダーそのものを攻撃する暴力破壊(第2系列までの試験)に対しては明らかに官民合格品のほうが強いのですが、第3系列の試験のように、バールを用いたこじ破りに対しては、扉の性能も係ってくるので、大きく差が出るというわけでもありません。

そこで、面付けタイプの本締り錠に関しては、既設マンションのドアに対応できる補強金具が開発され、販売されております。